ヒマラヤ山脈の北、中国チベット目治区西南端にチベット仏教徒が崇拝する聖山がある。その名はカイラス山。標高6,656m、聖なる山であるが故、その頂に立つことは許されない。時には数干キ□という距離を自らの足で大地を踏みしめカイラス巡礼に旅立つ信者たち。それは世界一過酷な巡礼として知られるものである。

 一周約50kmが巡礼路であるが、その道のりは岩だらけの荒地である。草木さえも生えないその道を仏教の中で最高の祈りとされる「五体投地」にて巡礼する。五体投地とは、体を大地に全て投げ出す祈りの形である。つまり、一度に進める距離は身の丈でしかない。どんなに高地に慣れた速い人でも一周するのには2週問かかる。巡礼路の標高が4,800m〜5,600mという超高地であることを考えるとその過酷さは想像を絶する。なぜ人々はカイラスヘと旅立つのだろうか。

 何を祈るために過酷な苦行を行うのであろうか。それは人生の最終目標がカイラス巡礼であると共に家族の幸せは勿論、来世は現世より幸せな人生でありたいと強く願う想いから人々をひきつけてやまない。

 聖地カイラス。今日もひとり、遠きカイラスを目指し旅立って行く。